ヴェルルのアトリエ

ポケモンというゲームをダブルバトルというルールを中心にプレイしている者です。一人でも多くのダブルプレイヤーを目指す人の役にたてたら嬉しいです。

ようこそ!シンオウからの受けループ

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かつて筆を置いた媒体でもう一度受けループについて語る日が来ようとは思わなかったですね。さて、かつてこんな感じで入っていたのも懐かしいですが、さっさと本編行けと石を投げられる前に本編に行きましょうか。

本記事ではシンオウにて最初に組んだ受けループの採用ポケモンたちの型と採用理由、受けループの回し方と崩し方をが紹介します。これで貴方も使う側でも使われる側でも受けループをマスターしましょう!!

 

グライオン

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  • 特性 ポイズンヒール
  • 持ち物 どくどくだま
  • 性格 ようき
  • 実数値と努力値 H180(236) A115  B148(20) Cー  D95  S161(252)
  • 技 ハサミギロチン  こおりのキバ   まもる  みがわり

さて、数学得意な人は気付いてるかもですがガッツリ調整ミスってます。問題なのはH実数値です。まず前提知識として、技 みがわり ですが自身の体力を1/4削って攻撃を肩代わりしてくれる文字通り身代わりを出現させるという効果です。対して特性 ポイズンヒール は毒、もしくは猛毒状態の時に自身の体力を1/8回復するという効果です。注目して頂きたいのは互いの分母です。

当たり前の話ですが、1/8の2倍は1/4です。100を4で割った数字は25に対して、100を8で割れば12.5になるとまで言えばわかりやすいかと思います。

ポイズンヒールの強さはここにあります。身代わりで体力の1/4削りダメージを拒否。勿論このターンにも毒状態であればポイズンヒールは発動します。つまり削った体力の半分を既に回復しています。次のターンに守るを発動すれば更に無償で回復。身代わりで消費した体力の全てを回復する事ができます。

これらの前情報を元にもう一度今回のグライオンのH実数値を見て頂きたいのですが、回復量的には問題は無さそうに見えますよね。180を4で割ると45。毎ターン22.5増えると考えると数値は合っています。しかしポケモンというゲーム、小数点は切り捨てるようにできているため、ポイズンヒールの回復は22しか行われません。つまりこのグライオンは身代わりと守るのサイクルで体力が1ずつ減っています。グライオンの魅力が半減くらいしていますね。

ポイズンヒールグライオンに無限性を持たせる場合体力は177〜179の間に体力を調整する必要です。やや実数値と離れますが、これを8nとして扱います。こちらのnは数学で習う倍数を表すものです。実数が違いますが今回はそういうことにします。便利なので。8nかつ身代わり4回使用しても体力が1残る4n+1である177が本来は使いやすいです。

つまりH212振りがグライオンはメジャーな型と言えるでしょう。Sは上から身代わりを使用したいため最速が好ましく、耐久全振りにしない限りはこの数値になると思います。残りはBDお好きな方に振り分けて良いとは思いますが個人的にはB振りの方が良いかなと。

技構成についてですが、まもる みがわり の2つはこの型であれば外せない技となります。ハサミギロチン については無限の勝ち筋となりますし耐久対面で便利なので採用。こおりのキバ についてはミラー意識で採用しました。

 

ムウマージ

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  • 特性 ふゆう
  • 持ち物 カゴのみ
  • 性格 おくびょう
  • 実数値と努力値 H167(252)  Aー  B90(76)  C125  D125  S162(180)
  • 技 たたりめ  ちょうはつ  おにび  ねむる

調整意図

S 最速グライオン抜き調整

H 耐久不安なのでとりあえずの極振り

B 余り

基本的に役割対象はグライオンを始めとした受けポケモンたちです。当然の話ですが、受けループに受けポケモンを効率よく処理する方法なんてあまりありません。このポケモンはそういった受けポケモンに対して強くなるよう育成しました。

勿論長期戦がめんどうとか、そう言った理由ではありません。受けループが注意すべきシナリオの一つに詰みがあります。本来詰ませるはずの受けループですが、勿論ミラーや受けループに強い構築との対面ではこちらも詰みかねません。良く言えば難攻不落ですが、悪く言うなら攻め手が無いのが受けループです。最悪の場合受けミラーでは長時間かけて逆転不能の差がつく事もあり得ます。逆に試合早々についた小さな差を終盤まで埋める事ができずに結局判定負けという事もあり得ます。

このような事態を避けるために受けに強い受けと言う存在が必要でした。明確にはムウマージは受けとは言い難いのですが、そのような詳しい話は後ほど。

技構成は先程話した通り受けに強くしたいため ちょうはつ の採用。最速グライオン抜きと言う中々素早いため上から物理系を機能停止にまで追い詰める事のできる  おにび  とそれを活かすための  たたりめ  耐久に難ありのため回復ソースとして  ねむる  の採用。持ち物は確実に眠りにのみ発動するカゴのみを選択。  持ち物の選択肢が狭い現状ではこのようなピーキーな持ち物を選択できる事も強みの1つです。

 

ヌオー

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  • 特性 てんねん
  • 持ち物 オボンのみ
  • 性格 ずぶとい
  • 実数値と努力値 H202(252) Aー B150(252) C85 D86(4) S55
  • 技 ねっとう  たくわえる  じこさいせい  どくどく

特性 てんねん を活かし相手の積みアタッカーを止める役割のポケモンです。受けループの弱点として受けきれない攻撃が飛んで来れば勿論沈みます。このヌオーであれば特殊攻撃は受けたくありませんし、草タイプの技も受けたく無いです。これらと同じ理論で、自身の火力を引き伸ばした積みアタッカーというのは受けループにとって非常に厄介極まりありません。実際、相手が想像より硬いと感じたら積み技を使おうと考える人は多いでしょうし、事前に耐久力を知っていればそれを前提に準備するのではないでしょうか。これは受けループにとっては美味しくない展開です。相手の攻撃を最低でも確定3発以上には持ち込む事で受けループははじめて真価を発揮します。いわゆる回復が追いついている状態でなければジリ貧になってしまいます。そこで登場するのが特性 てんねん です。相手の能力ランクの変化の影響を受けないこの特性は相手がどれほど攻撃や特攻を上昇させようが関係ありません。注意点として相手の能力ランクが下がってもダメージが変わりませんので、そこは覚えておきたい点です。また、どれほど能力ランクの変化を無視できるとは言っても アシストパワー のような威力を上げる技に関しては止められない事に加え、自身の能力ダウンは無効化できないため万能では無いという事は肝に銘じておく必要があります。

役割対象としてはキノガッサ以外の物理積みアタッカー全て。タイプ的にキノガッサに関してはどうしても相手できないのが明確な弱点でしょう。

技構成は火傷ワンチャンのある ねっとう 3回しか積めないが貴重なBD上昇の たくわえる 回復ソースのじこさいせい こちら側から相手の体力を削る手段としての どくどく 採用。特に たくわえる に関してはかなり珍しい採用かと思います。この枠は まもる もしくは のろい で良いでしょう。毒などの時間を稼げたり、4回以上積む事ができるのですから当然そちらに軍配が上がります。では何故この技を採用しているかと言うと、特防を上げられる以外にありません。見て頂ければわかりますが、特防はあまりにも貧弱なポケモンです。と言うよりは、ステータスそのものは非常に貧弱なポケモンですが、特化させればギリギリ戦える。そんなイメージです。それゆえ実は案外倒れやすいポケモンなのです。不意の特殊技に当たるだけで大騒ぎです。そのため有利対面で一応特防を上げられる たくわえる を採用していますが、あまり汎用面で言うと高くないので無難に先程の入れ替え候補のどちらかから選択で良いとは思います。

持ち物は汎用性の高いオボンのみを持たせていますが、それだけの信頼をおくに足りる存在という事と同時にオボン込みじゃ無いとワンチャン怪しい耐久だとも言えます。とは言えいないと困るこの構築の重要なポケモンです。

 

フシギバナ

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今作まともな耐久可能な毒タイプがあまりいないため消去法での採用。ムウマージとヌオーでも触れましたが、どの持ち物持たせる事ができるかと言うのは非常に重要です。それゆえカゴのみと言うピーキーで汎用性の低い持ち物を持てたムウマージは評価が高く、そのような持ち物は持てなくとも強いヌオーにはオボンのみを持たせていたわけです。その事を踏まえてこのポケモンの持ち物 黒いヘドロ ですが、毒タイプ限定の食べ残しだと思ってもらえれば大丈夫です。貴重な回復ソースの食べ残しを2つ使えると考えれば、受けループにおける毒タイプの重要性は計り知れない事が伝わるかと思います。また、毒タイプには どくどく が必中になる効果と、自分のフィールドに存在する どくびし を場に出ると無効化する効果も備わっているため、実は知らないだけで盛り沢山なタイプです。

他の毒タイプの候補ですが、ほぼマタドガスドククラゲになりますが、マタドガスの回復技は いたみわけ と使い勝手が悪く、ドククラゲギガドレイン や アクアリング があるにはありますがこちらも役不足。ほぼ消去法でフシギバナの採用となりました。回復ソースは、相手の削りも可能な やどりぎのタネ の採用でしたが、こうごうせい の方が使いやすい印象を受けるため入れ替えはオススメです。

また、受けループが注意すべき積み技と身代わりによる毒状態の拒否。これらの対策として ほえる の採用。タイプ上キノガッサの相手が得意なため、そのキノガッサに弱点のつける毒タイプの攻撃技として ヘドロばくだん の採用。必中によって定数ダメージの確立ができる どくどく の採用となっています。

 

ピクシー

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  • 特性 てんねん
  • 持ち物 ウイのみ
  • 性格 ずぶとい
  • 実数値と努力値 H202(252) Aー B137(252) C115 D111(4)S80
  • ムーンフォース ちいさくなる まもる ねがいごと

こちらも特性 てんねん による受け枠です。ヌオーの受けられないキノガッサをメインに役割を遂行していくポケモンです。とは言え、きのこのほうし で眠ってしまうので対策として万全かと言われると怪しさが残るのが現実です。しかしその実力は確かなものがあり、ヌオーよりステータスが高く等倍相手にも繰り出しが安定しやすいのが明確な魅力です。一度受けきれてしまえば ちいさくなる や今回採用していませんが コスモパワー を積む事ができる相手視点かなり面倒なポケモンと言えるでしょう。そのため対策はされやすく、現在の環境ではハッサムに弱点を突かれる事もあり、やや運用が厳しいポケモンです。

 

ハピナス

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  • 特性 しぜんかいふく
  • 持ち物 たべのこし
  • 性格 ずぶとい
  • 実数値と努力値 H362(252) Aー B68(252) C95 D156(4) S75
  • 技 ちいさくなる ステルスロック タマゴうみ ちきゅうなげ

悪魔はここにいた。メガネラティオスすら受け切るの控えめに言って気持ち悪すぎると思う。さて、こいつは特殊受けです。実数値を見て頂ければわかりますでしょう。特殊受けです。B68は舐めてます。しかし努力値を見るとその低いBに252振っていますね。特殊受けにも関わらずこの配分には理由があります。どこに努力値を252振ってもステータスは性格の補正が無い限り、32の上昇です。この32が非常に大きく、攻撃側は勿論自身の長所を伸ばすために配分します。

しかし防御側はそうともいきません。ざっくり言うと攻撃側のダメージの仮の数値を出した後に防御側は防御or特防の数値でその数値を割って、そこからもう少し計算してから最終的なダメージが算出されます。この事を物凄く噛み砕いて計算式を出します。まず、攻撃側の仮の数値は10000だとします。この10000をハピナスの素の防御30、努力値を252振った62、ハピナスの素の特防155、努力値を252振った187でそれぞれ割り算をします。

10,000÷30=333.3333…

10,000÷62=161.2902…

10,000÷155=64.5161…

10,000÷187=53.4759…

防御側は努力値を振る事によって数値が約半分になっているのに対して特防側に関しては約10程しか変化がありませんでした。勿論ここまで単純ではありませんが、性質上元々大きな数値を増やすより少ない数値を増やした方が最終的に受けるダメージを減らす事ができます。更にわかりやすく、そして確証をつけるために、今度はポケモンのダメージ計算機を使用して補正をかけずに努力値が0or252の状態で攻撃or特攻に252振ったガブリアスげきりん ラティオスりゅうせいぐん を受けた結果を出したいと思います。こちらのダメージ計算機に関しては様々な物がありますので各自お気に入りのものを見つけてみてください。

ガブリアスA252げきりん使用

ハピナスH252 B0の場合 確定1発 最低乱数409 最高乱数483

ハピナスH252 B252の場合 確定2発 最低乱数198 最高乱数 234

ラティオスC252りゅうせいぐん使用

ハピナスH252 D0の場合 乱数4発 最低乱数87 最高乱数103

ハピナスH252 D252の場合 乱数5発 最低乱数72 最高乱数 85

このように防御に振る事でダメージを大きく軽減する事ができます。同じガブリアスであればドラゴンクローは確定2発から確定3発にする事もできるため、相手の技次第ではハピナスガブリアスを受け切る事ができます。ここから性格で更に防御に補正を乗せる事で物理技でもある程度受け切る事ができるようになります。このような事からハピナス努力値配分はHBに厚く振る型が多いのです。

採用理由としてはやはり特殊技のほぼ全てを受け止められるその高すぎる性能です。現環境で強い特殊アタッカーのラティオスですら急所無しで突破は不可能と考えるとシンプル狂った性能です。進化の輝石が存在せずラッキーでの運用が難しいのが難点ではありますが、それでもなお異常な耐久を有しているこのポケモンはやはり強力と言わざるをえない存在です。

また、ノーマルタイプ故に弱点は格闘タイプのみですが、イメージの通り格闘タイプは物理が多く、特殊の格闘技は限られ適正のあるポケモンも少ないです。物理相手であればハピナス以外で受ける事ができるため、特殊アタッカーでハピナスの弱点を突こうとすると自然と不一致状態で使うことになりますが、タイプ一致補正のない弱点であれば痛手にはなりません。そもそも きあいだま はいつ外れてもおかしくなく、それでいて当たっても突破に繋がらないケースも多いのですから特殊アタッカーで対面するだけ無駄でしょう。参考までに言いますと、フーディンきあいだま で乱数3発です。控えめルカリオが特攻に252振った はどうだん でも乱数3発です。対面からでは突破できない事に加え、耐久調整等していれば後出しからでも受け切られるリスクが高まるため、いくら弱点と言えども特殊技での突破は非常に困難と言えます。

技構成は有利対面で隙があれば相手を詰ませられる ちいさくなる こちらが有利対面作りを繰り返すため、必然的にお互い交代が多発します。相手の交代を咎めステルスロック、回復ソースのタマゴうみ、こちらからダメージを与える手段として、自身のレベルだけダメージを与える定数技のちきゅうなげになっています。

物凄くサラッと流していますが、特性 しぜんかいふく も非常に強力でして、自身が受けた状態異常を交代すると回復します。ハピナスだけで無く、受けループの明確な弱点の毒や火傷を回復できる事はとても重要で、どうしても誰かで状態異常技をを受ける必要がある場面が存在しても回復できるためこの技構成であれば固定と言っても過言では無いでしょう。

持ち物は食べ残しの採用ですが、他に渡したい場合は光の粉を持たせてみるのも面白いかもしれません。

 

 

さて、ここまでが前座です。今回採用していた6匹の紹介が終わりましたので、ここからは受けループとはそもそもなんぞや?と言う所から受けループに採用される条件、受けループの回し方、受けループの対策方法の説明です。

 

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そもそもさ、なーんか名前は聞くし使われてウザいけどなんなのこの構築。意味わからんわ!って人いるのでは?受けループとはその名の通りですが、相手の攻撃を基本的に受け切り、攻撃ではなく天候や状態異常のような定数ダメージで相手を消耗させるか時間切れによる判定勝ち、Time Over Death 略してTODを狙う構築タイプとなります。その性質上攻撃性能よりも防御性能を重視される傾向にあり、高い守備力と安定した回復ソースの確保が必要となります。名前の通りループさせていく事が目的で、体力の回復は必須スキルと言っても過言ではありません。とは言え6匹全員そこまで耐久に特化させていく構築と言うのも難しく、ざっくり受けループと言えども3種類の区別があります。

まずは一番説明に近い全員が回復ソースを持ち無限にループ可能な純正受けループ。全員回復ソースがあるわけでは無いが、ほぼ無限にループが可能な受けループ。無限では無いがそのぶん様々な場面に対応できるよう構築された受けサイクルに別れます。

基本的には受けループや受けサイクルが多く、4世代環境の候補の少なさも相まって純正受けループの構築は非常に難しいものになっています。

 

受けループ候補生

さて、受けループについて理解していただけた所で、受けループに採用される条件についてです。今までの説明でわかるとは思いますが、耐久力が高くそれでいて回復ソースのあるポケモンが好ましいです。

純粋に耐久力が高く回復ソースの存在する純粋な受けポケモン(代表例 ハピナス

耐久力は高く無いが、特殊な手順を踏む事で耐久力以上の場持ちを可能とするポケモン(代表例 グライオン

相手の積み技を無効化する天然枠(代表例 ヌオー)

相手への毒撒きやヘドロ所持担当の毒枠(代表例 フシギバナ

完全な無限性能は無いが近しい性能を持ち通常の受けポケモンよりも高い火力を保有するポケモン(代表例 カビゴン

変化技を跳ね返す事で受けループが苦手とする技を抑制するマジックミラー枠(代表例 エーフィ、ネイティオ

相手の受けポケモンに対して高い効力を発揮する受けキラー枠(代表例 ムウマージ

あえて攻撃技を増やし相手の挑発等を受けながら行動する準アタッカー枠(代表例 カビゴン

回復ソースは存在しないが高い耐久力と場持ちの良さを活かし有利対面で相手の後続に負担をかける高耐久アタッカー(代表例 バンギラス

とつげきチョッキを持たせた場合受けポケモンとしての性能が輝き平均よりも高い耐久力と火力で相手の不意を突いていくポケモン(今作に存在しない持ち物のため代表例無し)

おおよその候補はこのようになります。環境や好みに合わせこれらの役割の中から6匹を選出していく事が重要と言えます。ポケモンの構築で陥りやすいミスですが、特定のポケモンの役割が多く1匹では間に合わない量の仕事を引き受けるいわゆる過労死枠が存在すると勿論ですが良くない構築です。これは通常の構築でもそうですが、受けループにおいてはできるだけ控えるべきでしょう。ハピナスが異常なだけで本来は特定の役割を1匹に押し付けるべきでは無いのです。それを踏まえた上でタイプ相性を加味してあらゆる状況に対応できる構築を組む事が最終的な目標です。

 

受けループの回し方

ここまで来る事ができればあとは運用方法です。構築が決まっても肝心の回し方がわからなければどうにもなりません。ここでは手順に沿って受けループの選出方法からバトル中の運用方法をご紹介します。

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まずはバトルに繰り出す3匹を決めましょう。あらゆる状況に対応可能とまでいかずとも、相手の6匹全てを3匹の誰かしらで有利に受ける事ができる選出が理想的です。ハッサム相手にはヌオーが有利ですが、ヌオーはキノガッサに弱い。キノガッサ受けにフシギバナも連れて行こう。このままでは物理受けしか存在しないため相手の特殊アタッカーが厳しい。ハピナスを連れて行こう。と、基本的にはこの程度の思考で問題ありません。

 

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ここまで来ればあとは一番最初に誰を出すかです。シングルバトルであれば基本的に変わりませんが、絶望的不利対面が存在しないポケモンか、最初に出して遂行したい役割があるポケモンが適正でしょう。タイプ的に大きく出し負けしないであろうポケモンや、ステルスロックを撒いたり、ポイズンヒールを事前に発動させたいと色々候補はあります。その場に応じて選んでいくしかありませんが、基本は相手の攻撃を半減以下で受け止められるポケモンを繰り出していきながら相手を消耗させる事です。そこを重点的に考えていきましょう。

 

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繰り返しですが、相手の攻撃を半減以下に抑えながらダメージを抑えつつ回復していき、隙を見て毒を始めとした定数ダメージで相手を削ります。鉄則となるのは常に有利な対面を作り続ける。不利な対面を継続しない。こちらのポケモンは倒されてはいけない。3つ目のこちらのポケモンは倒されてはいけないと言うのはやや語弊がありますが、TODを想定して勝てる状況かつ交代よりそのポケモンを捨てる方が安定している状況であれば倒されても構いません。とにかく相手より有利な状態を維持し続ける。これができなければ受けループは崩壊します。

 

受けループの崩し方

ここまでは使う側の視点の話です。もしあなたが受けループを使われる側に回るのなら、その対策方法は知っておくべきでしょう。という事で受けループがされて嫌な事を解説していきます。

 

ちょうはつ

その性質上、どうしても変化技が多くなってしまいます。変化技を封じられてしまうと途端に何もできなくなるポケモンも多く、この技1つでかなり困る事になります。その他相手のカバルドンラグラージステルスロック や あくび も防げるため技スペースが余っていたら採用するのも考えてみてはいかがでしょうか。

 

一撃必殺

手っ取り早い対策はこちらでしょう。だからこそグライオンはハサミギロチンを覚えているのです。攻め手の少ない受けループ相手には一撃必殺技の試行回数を増やしやすいため対策として強力かつピンポイントです。剣盾環境では受けループが強力な時期がありましたが、その時期にアタッカーのポケモンが一撃必殺技を仕込んでいたと言えばそのメタとしての有能さが伝わるでしょう。3割で崩されるんですからたまったもんじゃありません。

 

拘りトリック

1つの技しか出せない状況を作れるこの手法は受けループとの戦闘では壮大な力を発揮します。主にロトムなんかが拘りスカーフを持ってトリックを搭載しているケースが目立ちますが、受けループだけで無く、起点作成要員を止める事もできるため幅広く活躍する機会のある技です。

 

身代わり

グライオン本人も使いますが、実はこれがかなり厳しい。変化技による状態異常が無効化されるので普通にこの技1つで苦しくなります。少ない攻撃技でチマチマ身代わり壊す事しかできなくなるのは受けループとしてはかなりめんどうです。しかしこの技は自身の体力を削る点は忘れられません。最悪の場合TODを狙われる要因ですので使い所と採用ポケモンは考えるべきでしょう。上手くいけば相当なアドバンテージを稼ぐ事ができる技である事には変わりません。しかし使い所を間違えると一転不利になってしまうリスキーな対抗策です。

 

積みエースと抜きエース

ここまでなんやかんや言いましたが、結局はこれが一番警戒すべき存在です。最も崩された時に負けに繋がりやすく、これを通されたら素直に負けを認める存在です。能力値を上昇させこちらの受けを間に合わなくする。最も単純で最も効果的な戦い方です。だからこそ天然枠が必要なんですね。逆を返せば天然枠を潰せば積みエースが暴れ放題です。細い隙間だとしてもそこに針を通せた瞬間の爆発力は凄まじいものです。

 

状態異常

受けポケモンを弱くするために どくどく を習得するポケモンは大きく減らされました。技マシン1つで相手に毒を送り込む技がほぼ全てのポケモンが習得可能だった事こそ異常だったのは認めざるをえませんが、それはそれとしてこの習得ポケモンが減った事こそ受けポケモンにとって最大の環境的強化です。グライオンのような例外を除けば基本的に、自分が使えなくなった事より相手に使われなくなった事が重要なのです。それほどまでに受けポケモンそのものも定数ダメージとは苦しいのです。とは言えそんな事は使い手ほど分かりきっています。毒対策に毒タイプを投げる程度の事は当たり前にします。あくまで狙えたら狙いたい。その程度のものです。

 

交代読み

一番効果的かつ一番難しいものです。受けループというのは攻撃する必要がありません。相手に有利なポケモンを繰り出し定数ダメージで相手が勝手に倒れていくのを待つ構築です。さて、ここまでお話しすればわかるでしょうか。重要なのは「相手に有利なポケモンを繰り出し」ここです。炎タイプには水タイプを出します。水タイプには草を出し、草タイプには炎タイプを出します。一見難しい事をしている受けループですが、要はやっている事はこの程度の事です。このようなサイクルの組み方を安定行動と言います。有利対面であれば行動し、不利対面であれば交代する。ラティオスハッサム通称ラティハッサムクレセリアヒードラン通称クレセドラン。これらのサイクルで優位に立ちやすい構築と行う事は大きく変わりません。

これらの構築であれば覚えがありますでしょうか。ハッサムリザードンが対面してしまった時、あなたがハッサム側であればラティオスへの交代を選ぶのではないでしょうか。逆に、ハッサムバンギラスの対面、あなたがハッサム側であればバレットパンチを選ぶ場面でしょうか。少なくとも砂嵐補正でDが高く、悪タイプを持つバンギラス相手にラティオスは出さないかと思います。

このような安定行動を繰り返し、自分が有利な時に攻撃する。これをサイクル戦と言いますが、お互いこのサイクル戦を主軸に戦った場合何が起こるでしょうか。お互い不利な時は交代、有利な時に行動の繰り返しです。しかし途中で毎回同じ事の繰り返しだと気付きませんでしょうか?イタチごっこを続ける事がポケモンの楽しみではありません。ポケモンの醍醐味がサイクル戦と言われるのには理由があります。その理由こそが交代読みとなります。相手は既に2回同じ対面で交代をしている状況、相手がまた交代をしてくると想像するのは決して難しくありません。プレイの癖とでも言いましょうか。相手は安定行動を繰り返しやすいプレイヤーだと想像できる行動が多ければ相手の行動を読む事は容易いです。そして受けループ最大の欠点こそがここに隠されています。まさかハピナスキノガッサの前に居座らせるわけにはいかないのです。読まれるリスクを背負いながらでも交代するしかありません。受けループとは最悪のシナリオを想像しながら動く構築です。交代読みを決められると苦しくなるが、相手が素直に動いて来た時にこちらは1匹失う。天秤に掛ければどちらが苦しいかは明白です。自然と受けループ側は安定行動が多くなります。勿論不利対面ながら1〜2ターン限定の擬似的な受けが可能な対面であれば相手の出方を伺うために居座るケースも存在しますし、あまりにも行動を読みやすければ受けループ側が交代読みをする事は大いにあり得ます。しかしそれは稀なケースであり、本来の受けループの形ではありません。だからこそ、受けループ側の交代に合わせ効果的な行動を選び繰り出される後続に負担を掛けていく事こそが最大の対策となります。

 

 

総括

受けループとは防御面の有利対面を常に作り出しながら相手に定数ダメージを押し付け消耗させながら半永久的な耐久を行う事で相手の体力切れ、もしくは試合時間の超過による判定勝ちを狙う構築であり、その性質上耐久力が高く様々なシーンに対応できるポケモンが選ばれやすい。その対応できる範囲を超えた一手を通す事ができれば受けループを崩す事は可能であり、効果的な技は多くあれどプレイヤー間で行われる読み合いによる対面操作が最も効果的なシーンが多い。

 

 

最後に

お疲れ様でした。ここから先は関係ない話が続くため受けループについての情報が見れれば後はもう良いという人は読まなくても大丈夫な内容となっています。それを踏まえた上でまだご覧になるという方のみこの先にお進みください。

ドヒドイデのいない受けループを回す事は初めてではありません。過去にドヒドイデが禁止されていた時期もあればそのような大会も剣盾ではありました。しかし、どこまで行ってもドヒドイデへの信頼を超えるポケモンはほぼいませんでした。そんな中シンオウ地方での受けループの作成は頭を悩ませたのは事実です。個体の確保もままならず、付け焼き刃のような構築である事は否定できません。その上ポケモン対戦は近頃ほぼやってませんでしたのでまず戦えるのかという疑問から始まりました。結果としては思ってたよりはマシな戦いを行えて安心しております。そんな個人的には不完全なものではありますが、受けループという存在を知らしめ関心を持ってもらう事には成功した事が実は嬉しいのです。というか、これはかなり昔から言っていたのですが、私は登竜門になれればそれで良い。どこまで行ってもプレイヤーに向いていない性格なのは理解しています。だからこそ自分を通じて一人でも多くのプレイヤーが根付いてくれれば、それでコンテンツが盛り上がれば良いと思っています。その手段として動画や配信を考えた事が無いと言えば嘘となりますが、結局は今のままです。影響力で言えば笑う程小さなものであるはずにも関わらず、興味を持ってくれる人がいた。この状況には非常に感謝しています。さて、最後まで読み進め今この文を読んでいるとすればあなたは相当な物好きでしょう。普通、作者の後書きって飛ばすものです。無論私は読みますよ。読書は昔から嫌いでは無いのです。

伝えたいのはそんな事では無く、これは自分の中でのポリシーのようなものですが、趣味で選んだものでくらい頑張りたいというのが自分の中であります。人間生きてて辛い事なんて無数にあると思います。言い訳したい時だってあったのではないでしょうか。言い訳したって良いのです。ただ、自分が趣味として選んだこの世界でくらいそれはやめたい。常に考えながら最適な答えを出したい。それが目標です。ゲーマーがゲーマーたる所以はここなのでしょう。そんな目標を持つ遥か前、個体値という言葉を覚えたのがXY、厳選に手を出したのがORASです。もう7年くらいは前でしょうかね。それだけの時間かけて、偉そうに人に教えられる程にまでなりました。途中ほぼポケモンをやっていない時期も多いです。ゆっくりで良いし止まっても良い。趣味ってそういう物です。やりたいと思った時に全力で取り組み苦しくなったら離れる。別にそれで良いのです。急ぐ必要はありません。幸い、我々がおじいちゃんおばあちゃんになる頃までは生き残っているだろうコンテンツです。散々叩かれた今作の売り上げ見ましたか?凄いことになってますよ。つまりはそう言う事です。7年前に言われた「君は遅咲きだしいつか開く」というニュアンスの言葉がここまでのめり込むきっかけだったのかもしれません。仲間とワイワイ楽しんでたあの頃がきっと今の自分に繋がっています。ポケモンに限らず今ある些細な出会いが自分の一生の支えになる事もあるでしょう。いつ何と出会うかは未知数です。今は分からずともいつか振り返った時に意味がわかる。人生ってそう言うものです。

さて、過去に浸りすぎたようですね。自分の昔話をするのは老害の証と言われていますし、手遅れではありますがこの辺りでお開きとします。また何か誰かからの要望があれば筆を取るかもしれません。逆に何もなければ一生このままでしょうか。さてさてそれではこのアトリエの中の人としての私はしばらくお休みです。また会う日までどうかお元気で。